邂逅

よもや、この場に来られるとは思っていなかった。
彼の気まぐれか思いつきか。
しかし好機に恵まれ感謝しかない。

私は、遅れてきたファンだ。

 

97から98年にかけての年末年始のTVで、
みっちーを初めて見た。
容姿も好みだったが、カメラの前の反応速度の良さに
頭の回転が速いとすぐにわかった。

「あ、この人だ」

この人が私の好きな人だと、そう直感した。
その場でネットで名前を検索し、情報収集を始めた。
当時googleはまだなく、gooが出始めのころだったろうか。
ちょうど個人がHPを持つのが流行りだしており、
横のつながりは強く、1人ファンを見つければ、
BBSを通して芋づる式に他のファンサイトがヒットした。
デビューして1年半だったこともあり、
過去の情報やライブレポは、なんとなく集まった。
それらを貪るように読み、夢想した。

正月休みが明けて早々にS.D.R.への入会手続きを取り、
ほどなくして電話をかけた。
2月に、赤坂BLITZで4daysのライブがあるのだ。
FC先行販売枠でチケットを買えないかと尋ねたが、
当時は会員管理システムが手作業だったのだろうか、
「それはできない」と、すげなく断られてしまった。
一般販売に並ぶも瞬殺。

知れば知るほど、私は彼に惹かれていった。
「王子ごっこをして遊ぼう」という彼の主旨はすぐに理解した。
買いあさった雑誌で語る言葉は、
編集者の手が加えられていたけれど、
何をどう表現したいかの本質はそのままだった。

しかし98年から彼は、歌番組やドラマに出始め、
ステージもライブハウスからホールへ、
ライブ構成もコンセプト性が強いものへと
次々に新しい挑戦を始めていく。

私が必死にかき集めた雑誌やネットの情報にあった
アンダーグラウンドの匂いがする、
彼の根底を形作るライブハウスらしいライブは、
たぶん赤坂BLITZの4daysが最後だったのだ。

その後、「シークレットライブだから、いつ開催するかひみつ」
「この二律背反マークが目印だから」と言われたADUT ONLYも
チケットは取れなかった。
そして、あれが本当に最後のチャンスだった。

 

今回の下北沢GARDENは、キャパが600だとある。
「狭いし人が少ないから近くで見られる」
「もう一度、今ツアーのプログラムが見られる」
そんな気持ちもなくはないが、
私にとっては、それだけではないのだ。

下北沢。キャパ600。
きっと、彼が過去に立ったステージに近い状況だろう。
本人は歌で食べていけると信じている。
けれど、現実はそう上手くいかない。
小さなライブハウスのステージには、
多くの人のそんな思いが沈殿している。
浅はかで若く、青く、生臭くて純粋な濃密さ。
愛や欲や涙もあろうか。
エネルギーの渦に感応するアンテナが
みっちーには、ある。
プログラムは今ツアーと同じでも
過去の自分の熱に負けまいと、
ギラリとした内面をむき出しにする瞬間が、きっとくる。
あの人は生粋の、ライブハウス育ちなのだ。

20年前に火のついた思いはずっと、
私のなかで尽きぬまま、そこにある。

いま、私は、あの人に逢いに行く。

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