2011/05/30 大人の恋。 市川市文化会館

市川でのMCについては、たぶんネットでたくさん見つかるYO!
それらを組み合わせれば、だいたいのことがわかるだろうし、それはほとんど正確だと思う。
だから私は、私が書きたいことを書く。

なにせこの「意気地なし」が卑怯だった。
いつもなら、年下の、少し頼りないような男性の歌なのに、
まるでタロットカードをくるりと逆さにするように、みっちーは同じ曲なのに正反対の解釈をしてみせた。
表情や歌声がまったく違う、年上の余裕のある男性が登場したのだ。
女性に困らされている顔をしながら、ちっとも困ってない。
「できそうもないです」といいながらNHKのときと同じように、
頭をぐしゃぐしゃっとかいたりするのに、
NHKではそれが「かーわーいーいーーーー」だったのに、
ぜんぜんそんなんじゃない。
ほんとはそんな人じゃないんでしょう? そんな顔をしてる。
「おっしゃるとおりです」といいながら、いたずらっぽく笑ってウインクするなんて。
困ってる振りして楽しんでる、すべてを受け止められてる。
あなたの方が上手なんて。
ちっとも「意気地なし」じゃないなんて。
そして退場する前の、ホーンセクションが舞台前に出てきてからの
歌との掛け合いが最高にゴージャス!
ホーンの艶やかな音色を受けて、みっちーの歌声が
ぐうっと弧を描くように高く伸びてまたみっちーに戻る。
音が輝きながらブーメランのように飛ぶ感じ。
(ワタクシ、音楽には詳しくないので語彙が足りない。
読んでいる皆さんはともかく雰囲気を掴むように。よろしくて?)
歌がうねるような音程をとると、ホーンがそれを支えながら反対側に飛ぶ。
これぞショウタイム!というメロディラインが繰り返される。何度も。何度も。
主従がめくるめくように入れ替わって、音に振り回される快感。
この振り回されるというのも、乱暴なものではなくて、
音に手をとられ、ダンスのターンをリードされるよう。
ワタクシはこのステージのヒロインで、
腰に軽く手を当て、肩を入れ、腰をやわらかくくねらせウォーク、
ヒールは高めで、フレアスカートのすそを捌きながら、格好良く登場する。
ショウダンサーのように、パッと足を蹴り上げてもいい。
そんなイメージです。
ああ、もう、この掛け合いをずっとずっと聴いていたい。
気持ちよくてとろけるかと思った。私、こういう音、好きだ。
みっちーがハケてからもホーンが続き、ぐうっと盛り上げて、ドラマチック&ゴージャスに終わった。
その華やかさにため息をつく間もなく、アラケンが登場してギターをかき鳴らす。
まったく違う曲調だけれども、下手にきてくれて正面から見たアラケンがまたうれしそうでさ! にっこにこでさ!
こっちだってテンションがあがっちゃうよ!
アラケンから師匠へ、そしてみっちーの再登場。
バーのセットの二階、下手には隠し階段があり、そこをゆっくりと上ってくる。
中央にある階段の正面、真後ろには二律背反マーク。
その前に立ち、歌いだしたのは「運命のひと」。
NHKのときはマークの真ん中に立つ姿に、二律背反のハートが翼のように背にあったのを良く覚えている。
直前の2曲とはまた、まったく違う曲をぐっと感情をこめて歌う。
歌の最後に近づくにつれてどんどん気持ちが高まっていき、
不意に
頭を振り上げて大きく振り下ろした。
赤いライトの中、
汗が
バッと
散る。
そこから伝わるもどかしさ。
最後の歌詞は、歌わずに苦しそうに吐き出した台詞。
「求めない… … 何も」
歌い終わり、がっくりと肩を落として、
そして大きくため息をついた。マイクも通さず。
これはNHKのときもそうで、生声で「はあーっ」と、聞こえた。
一度、舞台裏に下がり、衣装替えをして、なのに、このテンションをキープ。
張り詰めたまま、すごい高みを走り続けているのが、わかる。
そして短いMCをはさみ、「君の中へ」。
歌いあげ、両手を大きく広げ、そのままぐっとこぶしを握った姿に
「やった」感がこちらにも伝わってきた。
この「君の中へ」もよかったけど、この1曲が出色の出来だったのではなくて、
その前からの助走があってこそではないか。
「意気地なし」のエンディングからの高まりが、引き起こしたのだと思う。(思いたい)
ここから続くファンキーな曲は、それはもう盛り上がっちゃうのは当然なのでここでは割愛する。 
しかしもちろん、盛り上がるからと言って流すようなことはなかった。
魂を込められて輝く歌たちが、この夜だけのもので消えていってしまうなんて、なんて贅沢なんだろう。
みっちーはその後もまったく集中力を切らすことのないまま走り抜け、
このあとにもベストテイクを連発し、何度もこぶしをぐっと握っていた。
MCでもとてもいい話をいくつもしてくれていたけれど、
それも込みで「みっちー」だけれど、
今夜は歌い手。
「歌う」という表現を選んだアーティスト
音で人を楽しませることを生業とした人
歌うことで人の感情を揺り動かす人
それをまざまざと見せ付けられた夜だった。
繰り返しになるけれども、これが16年めのスタートで、
歌う表現者であるのだという強い意志を持ったステージで、
私はその場に立ち会えて、
本当にうれしい。
* * *
ところでそのMCの中で、なんだったか、こうして話している小ネタを「インターネットに書くんでしょ!」と冗談めかして言っていた。何でもかんでも書かれちゃう話だったか。
ああ、書くさ!
それに続けて「自分の言葉みたいに!(書くんでしょ)」とも言っていたが、
それはないな!

あなたを見ているだけで、私の中から言いたいことが沸き上がってきて止まらない、それを私自身の言葉で書き綴る喜びと快楽をどうして手放すことができよう。私もまた、書くことを拠り所とする表現者の1人なのです。

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